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灰の世界の魔導学 



はい、見事にさわりだけです。
いつになったらストーリー進むんでしょうね?

明日投稿できればと思っています。


じゃ、
追伸からスタートです。

 

第一章 灰の遺跡

 まるで、降り積もった雪の様な白い平野が眼前に広がっている。
 しかし踏みしめる感覚は雪には遠く、気温も暑くは無いが寒くも無い。ただ、生命を感じない空しさだけが、雪面とよく似ていた。
 灰の荒野。
 世界の大地、そのおよそ半分を占める滑らかな白い灰の土地。それを人々はこう呼ぶ。
 強いアルカリ性の土地は作物を受け入れず、有機物が焼き払われた土は掘っても掘ってもただ灰が溢れるだけ。水を孕む事無く、生き物を受け入れない。人間にとって無価値に等しい、荒れ果てた野。
 その荒野には、点々と遺跡が聳えている。
 かつて、ここも人が住めたという証であるそれは、灰にまみれてゆっくりと時に屈していく。
「ふむ。ここのようだな」
 灰を足元に、星空を背景に、少女は遺跡を見上げていた。
「廃れ、寂れてしまってはいるが……やはりどこか懐かしい」
 年のころは、十五を幾つか超えた位だろう。白い肌に、凛とした顔立ち。銀髪にも見える、至極淡い暗緑色の髪は二房にザックリと三つ編みにされ、先を留めた幅広の黒リボンが鴉揚羽のように風に舞っている。纏っている丈の短い黒いドレスは、肩から胸元にかけて肌の露出するゴシック調のデザインだった。
 彼女の生き生きと輝く琥珀色の瞳が、遺跡の前に開いた、馬車が一台止まれるほどの大穴を覗き込む。
「む? 何だ、この穴は」
「イリーナ、落ちるなよ」
 落ちてしまいそうな程前屈みになった少女の後ろから、声が掛かった。
 それを聞いて、イリーナは踊るように軽やかな動きで声のほうを振り返る。
「落ちるわけ無かろう、馬鹿者。私を誰だと思っている?」
「そりゃ失礼」
 腰に手を当てて怒る彼女に、背後にいた青年は大仰に肩をすくめて見せた。
「けど、馬鹿者は無いだろ」
「馬鹿者は馬鹿者だ。違うかバルセロ?」
 灰避けという訳ではない、純白の羽が飾られた深紅の値の張りそうな帽子を脱いで彼は笑う。
 冬の澄み切った青空のような、色の薄い、蒼の双眸。臙脂色の長髪を、項の辺りでやや細身の赤いリボンが結っていた。
 声を聞かなかったら男と判断するのは難しいだろう。華奢な身体と整った容貌の二十歳には届かないくらいの歳の青年だ。
 深紅の燕尾のジャケットにやはり赤い、二の腕まであるグラブ。丈の短い赤いマントを羽織り、赤にこだわりがあるのか黒いズボンの足元は赤革のブーツだった。
 二人とも、灰の荒野にぽつんと立つ遺跡を訪れるにはかなり場違いな格好である。しかし戯曲に出てくる魔女と騎士のような服装も、二人並べば不思議と違和感無くその場に馴染んでいた。
「じゃあ、降りるか」
 先ほどの少女のように穴を覗き込み、バルセロは言う。
「馬鹿者。この高さから落ちたら死ななくとも怪我はするぞ?」
 心底あきれた、というように反論されたが、彼は
「落ちなければいいんだろ? 落ちなければ」
 と、意味ありげに笑いながら、バルセロは穴の脇を通って遺跡の壁に浮いた幾何学模様を観察する。
 魔法物質的導術方程科学、通称、魔科学。
 『マナ』と呼ばれる目には見えない物質から様々な物を生み出す、ヘイムヘルレースの主流となっている科学だ。この幾何学模様は『導術方程陣』と呼ばれる魔導学、つまり魔導術を行使するために必要な化学式である。この遺跡が作られた時代、魔導学は今より遥かに発達していた。
 同じように歩き、彼の隣にやってきたイリーナも壁を凝視したが、暫くして頭を振った。
「駄目だな、私には分からん」
 ちらり、と琥珀色の瞳を向けられ、独り言のように彼はそれに答える。
「ふーん……。これ、導術方程陣が擦り切れてるな」
 そう言ってバルセロはイリーナを向いた。
「少し離れてくれ」
「うむ」
 イリーナが穴から離れるのを確認し、バルセロはジャケットのポケットを探る。
 抜き取ったのは、ただの『万年筆』だ。
 ペン軸に深紅の塗装をし、金で細工を施した細身の万年筆。グラブをはめたままの指で器用に回しながら、目で幾何学模様を辿る。
「ここか」
 インクの色は、黄昏のような赤色。
 幾何学模様、右上の線に一本斜線を引き、その上方に曲線と直線の集合体を――文字のようだが、一般に使われている文字とは違うものを流れるような筆致で書き記す。
 書き終えると、血染みのようなインクが淡い紫に輝きだした。
 魔導術が完成した証に、グラスハープのような清澄な音が響く。
「ふむ。流石だ」
 微かな振動と共に、まるで幻のように空中から現れた石の階段を見てイリーナは満足げに頷いた。




 ああ、どうしてこんな事になったのだろう。
 アリシア・ノースクリフは、疲れきった頭でそんな事を考えていた。
 最初は、木こりが出来なくなってからだった。
 そのあと、灰の荒野に近い村だったから、私は荒野に出て遺跡を荒らすようになった。
 荒らすといっても盗賊紛いの同業者とは、違う。トレジャーハンターというにはささやかに、盗賊というにはあまりにも矮小な食い扶持稼ぎ。
 古代の導術方程陣は、作り出せる物も、人の手が作った物と変わらない精巧さを持ちながら何の金もかけずに作り出すことが出来るため、高値で取引される。私はそれを町の闇市で売って、村人達の生活費を稼いでいた。
 だから、切り立った山の陰にポツンと聳える遺跡を見たとき、不謹慎ながら胸が躍った。
 地元の私が気付かなかった遺跡が、こんな近くにあったなんて。きっと、まだ誰も気付いてない。きっと、貴重な方程陣があるに違いない。そう思ったのに。
「……痛」
 左足が痛い。多分折れてしまった。
 入り口が見つからなくて、偶然触れた壁に書かれていた導術方程陣。いきなり発動したそれに驚いて、後退ったその後ろに開いた大穴。
 次にある記憶は、もう穴の中。周りには同じように穴から落ちたのだろう、同業者達の骸が目に入った。
 私もこうなるのだろうか。
 じわっと、涙が滲む。もう、持ってきた食料も、水も、無い。今日の朝、落ちた筈なのに、もう何年もここで待っている気がする。
 絶望に沈みそうになったその時、声が聞こえた。
「ふむ、ここのようだな」





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